苗床

菌床じゃないよ

週間日記(2023/10/09-10/15)

 

2023/10/09 Mon.

 地元の神社で大きなお祭りがある日。毎年この日は市内の学校の給食にお赤飯が出るので、真似して赤飯を炊いてみた。蒸し器ではやったことがないため手軽に炊飯器を使って、食感が少しもちもちしすぎているような気もしたけどおいしく作れた。祖母にお裾分けしたら喜んでもらえて良かった。私が赤飯を炊き、母が郷土料理の汁物を作って、父がスーパーでお惣菜を買ってきたので、一人一品用意して持ち寄ったパーティーみたいでおもしろかった。

 晩ごはんには母がロールパンを焼いてくれた。パン作りは専ら母の専売特許で私は作ったことがなく、イーストや醗酵についても何も知らずなんとなく難しそうだと敬遠しているけど、おもしろそうなのでいつかは自分も挑戦してみたい。カレーパンやクリームパン、メロンパン、シナモンロール、大きなカンパーニュなどが憧れで、自分で作って焼きたてを食べるのは楽しいだろうなと思う。

 

2023/10/10 Tue.

 右手の手の甲にできていた手湿疹がいよいよ悪化してきて、かゆくてたまらない。でも、このごく狭い範囲の湿疹のためだけに皮膚科へ行くのは、往復で6~7kmの距離を自転車で移動することをと思うととてつもなく億劫に感じられる。家にあるかゆみ止めの塗り薬は大して効果がなかったので、「手湿疹 市販薬」と検索して出てきた塗り薬を買いに行った。目当ての物が手に入ったので、これを塗ればつらいかゆみから解放されるんだと心底ほっとしたものの、帰宅して開封し患部に塗っているうちに、以前にも同じ薬を買ってきて使い切るほど塗ったのにあまり効果がなかったということを思い出してしまった。特に安い価格ではなかったので妥協して使ってしまいたいけど、この強烈なかゆみとじくじくしかけた真っ赤な湿疹とがこの薬で治らないなら、別の市販薬を買ってきて試したほうが良いのかもしれない。ここまで3種類の市販の塗り薬を試してきてどれもさして効かなかったとなると、皮膚科に行くのが最も確実なのは分かっている。遠いし、自転車を漕ぐのは疲れるし、予約の電話もかけたくないから気乗りしないことこの上ない。だけど、大声で叫びながら掻きむしりたいほどかゆい。気が付けば毎年のように寒くなると手湿疹をこしらえてきたけど、まだ秋も始まったばかりだというのにこの有様なので、先が思いやられる。

 

2023/10/11 Wed.

 夕食の後に少し近所を歩いた。すっかり涼しくなって歩きやすい。身体が重くて気力体力がなく、動くのが億劫で出かけたくなかったけど、今朝パジャマから着替える時に身体の線が出にくい服を選ぼうとしている自分に気付いて、数年前まではそんなこと考えもしなかったのにと愕然とした。ここ10年で体重が20kg増えたとなると、20歳頃の体型に10kgの米の袋を2袋抱えているような状態なので、身体も重いはずだ。辺りが真っ暗で車も少なく人目が気にならないので、せっかくだから帰り道に全力で少し走ってみた。走るなんて滅多にしなくなったけど、思ったよりは走れたので少し嬉しかった。ほんの短い距離なのに走ると息が上がって汗が流れ出して、いかにも身体を動かしたという達成感が得られた。長距離だろうが短距離だろうが関係なく走るといつでもビリだったうえ、先にゴールした同級生の怖いグループから走る様子をくすくす笑われる記憶が蘇るので、走るのは本当に嫌いだ。学校教育における体育の授業のおかげで、運動全般に対して並々ならぬ忌避感や嫌悪感、恨み憎しみを募らせているので、今日走ってみてあまり気分が悪くならなかったというのはなかなか新鮮だった。走る習慣を身に着けられれば20kg分の米袋を少しは軽くできるのかもしれないけど、義務にすると間違いなくやる気が削げるので厳しい。

 

2023/10/12 Thu.

 誕生日。31歳になった。絶対に死ぬつもりで24歳の時に死のうとしたのに、またひとつ年を重ねたのが不思議な感じだ。去年の誕生日の頃は、勉強を頑張って人生巻き返すぞと意気込んだり、30歳まで生きた自分をねぎらい思いきってロリータ服一式を買ったりしていた。ここ数年の間は苦しかったけど、それを糧にしてきっと目標や理想に近付けるはずだと信じることができた。ところが、そこからたった1年しか経っていないのに、今やすっかり意気消沈してこれからどうしようかと途方に暮れている。今の自分に勉強はできないし、心身が疲れ切っていて他人と関わろうという気が起きず、パートでさえ到底働けるとは思えない。働いて親から自立するという理想がとてつもなく遠く感じられて、みじめで今後の希望もないから死にたい、でも死んだら周りに迷惑がかかる、生きていても迷惑はかかる…と毎日ぐるぐる考えるばかりだ。心理学の本を読んでもその心理療法を受けられる訳ではないし、自分が何をすれば世の中に適応できるようになるのか分からない。「良く」なるために何かをすることや、自分が「治る」可能性を信じることすら嫌になってしまった。そのうちまた元気が出てくることはあるかもしれないものの、どうせすぐに再び現実に打ちのめされて鬱々とした日々へ戻ってくるのは目に見えている。

 そんな状態でも食欲や物欲はあるので、自分への誕生日プレゼントとしてコーヒーミルを買った。レトロなデザインのミルで豆を挽いてコーヒーを淹れることに以前から強い憧れがあったので、せっかく自分の部屋でコーヒー豆が採れたのを機にAmazonで購入した。Kalitaのミニミルは、まさに自分が理想とするコーヒーミルそのもので、小さいながらも造りがしっかりしていてとても気に入った。昨日までに焙煎しておいたコーヒー豆をがりがりと挽くのは楽しく、挽いた豆はいかにもコーヒーらしい粉状になっていて感動した。混ざっている薄皮のかけらが気になるので、ざるで振るって取り除いた。ドリッパーと濾紙をセットしてお湯を注ぐと、ちゃんとコーヒーの香りが立ち昇る。今回採れたコーヒー豆の量が少なかったので薄いコーヒーにはなったけど、味もしっかりコーヒーらしい味がして嬉しかった。ホームセンターで買ってきた観葉植物のコーヒーノキを育てて、収穫したコーヒー豆をミルで挽いて淹れたコーヒーは格別な味だった。私は大多数の人がそれなりに苦労や努力をしながらも当たり前のようにやっていること(人付き合いや労働)がひどく苦手でまともにできないので、常に罪悪感や劣等感、自己嫌悪を募らせているけど、観葉植物のコーヒーノキから一杯のコーヒーを生み出すことはできたと思うと少し慰められるような気がする。世間から求められ認められるのは働いて自立した大人になることであって、コーヒーを淹れたからといって特に評価される訳でもない。でも、自分の中の自信や自尊心をほんの少しでも取り戻せるなら、それはそれで良いかもしれない。

 

2023/10/13 Fri.

 久し振りに自転車に乗って出かけた。ずっと軒下に放置していたので、濡らした雑巾であちこち拭いたり、タイヤに空気を入れたりするのが面倒だったけど、いざそれらを済ませて漕いでみるととても気持ちが良かった。歩くよりもずっと速くぐんぐん進むし、風を切って進む感覚も爽快で、夏が終わって気候もサイクリング日和そのものだし、自転車ってこんなに良い乗り物だったのかと驚くほどだった。私は自転車に乗れるようになるまで何年もかかった。小学生の頃から練習は始めたものの、ようやく苦手意識を払拭し「普通に乗れる」と自負できるようになったのは、二十代も半ばを過ぎてからだった。子どもの頃は、こんなもの自分には絶対に乗りこなせるはずがないと思っていたのに、今になってやっと自転車に乗ることを楽しく思える時が来て嬉しい。自転車は克服できた一方、「人は当たり前のようにできているけど、自分には絶対に無理でできない」と思っていることが未だにいくつもある(就職して働き続けること、他者と親密な関係を築くこと、反対意見を言ったり、断ったりすること、車の運転をすることなど)。人と比べても仕方ないし、人より何倍も時間をかければいつかは習得できるものが中にはあるのかもしれない。そうした自分に嫌気が差してますます幻滅するし、少しずつでも克服しようという意欲をすっかり失ってしまっているので、もう頑張りたくないなと思ってはいるけれど。

 

2023/10/14 Sat.

 朝から業者の人が来て、家の工事用に組まれた足場を解体してくれた。昼頃には足場が撤去され、これで完全に工事が終わったことになる。家の周囲に張り巡らされた金属の足場も、家全体を覆う目の細かいネットのような布もなくなり、とてもすっきりした。屋根も壁も修理してもらってぴかぴかになり、しぶとく残っていた水害の泥汚れもなくなって、とてもありがたい。家の外の人影や物音にびくびくしなくて済むようになったのも嬉しく、心底ほっとしている。

 夜、母がケーキ屋さんで買ってきた栗のケーキを食べた。せっかくおいしいケーキがあるからと、カルディで買ってきたコーヒー豆をミルで挽いて淹れたら、香りが立ってとてもおいしかった。文学部の学生だった頃に、所属していたゼミの先生がミルで豆を挽いてコーヒーを淹れていたのを思い出した。研究室に集まったゼミの学生達に、紅茶とコーヒーとどちらが良いか一人一人に尋ねて淹れてくれて、ほとんどの人は紅茶を選んだ。私はトワイニングのラズベリーのフレーバーティーにも少し惹かれたけど、先生がこだわっているというコーヒーをお願いした。目の前でがりがりと豆を挽いて淹れてもらったコーヒーはとてもおいしかったし(その時先生が使っていたミルに、私が買ったミルのデザインがそっくりだったような気がする)、大学で私が一番おもしろいと思っている講義をする先生がこだわって淹れたコーヒーだと思うと、とても嬉しくて浮かれた気持ちになったのを覚えている。植物や食べ物、特にコーヒーやチョコレートなどの嗜好品になる植物の文化史に強い興味を抱いていて、大学図書館でその手の本を楽しく読み漁っていたのもあって、普段自分が飲んでいるドリップコーヒーとは違うコーヒーを飲むことにもまたわくわくした。コーヒーにこだわりがある大人というのもなんだかかっこよく思えるので、自分もコーヒーミルを使いこなしておいしく淹れたコーヒーを楽しめる人間になりたい。気が付いたら、コーヒーを飲むと高確率でお腹を壊す体質になってしまっていたので、本当は飲まないほうが良いのかもしれないけど、おいしいし好きだから飲みたい。トイレに籠る羽目になっても飲む価値がある飲み物だと思う。

 

2023/10/15 Sun.

 家の工事が終わったので、この際だからと家族でウッドデッキの掃除と片付けをした。ごみ収集場にごみを捨てに行き、床と階段にニスを塗り直し、買ってきたメタルラックを組み立てて物を収納した。工事の間じゅう庭の芝生に放っておいていた鉢植えも軒下に並べ直して、やっと水やりがしやすくなった。家の周囲がすっきり片付いてとても気分が良かったけど、しゃがんだり重い物を運んだりしたせいか腰を痛めてしまった。工事の足場がなくなったら、夏の間さぼっていた庭仕事をいよいよ再開したいと思っていたけど、草むしりのためにしゃがむと腰にとどめを刺してしまうので、もう少しさぼっておくことにする。

 お昼は父お気に入りのお店に行って、醤油ラーメンを食べた。以前同じラーメンを頼んだ時と変わっていて、麺がちぢれ麺からストレート麺になり、1.5cmくらいあった分厚いチャーシューは3枚にスライスされていたけど、やっぱりとてもおいしかった。特にスープがおいしい。ラーメンに詳しくないので何がどうとは説明できないけど、とにかくおいしくて私好みの味がする。ラーメン以外のうどんや定食もおいしいと聞くけど、初めて来た時に食べた醤油ラーメンがあまりにおいしかったので、以来そればかり注文している。毎月食べたいくらいおいしい。