苗床

菌床じゃないよ

週間日記(2023/09/25-10/01)

 

2023/09/25 Mon

 障害年金の申請手続きのことで、通っている精神科へ行きソーシャルワーカーさんと会った。日常生活の様子の聞き取りや、患者本人が記入する用紙の書き方の説明など。初診時の状況や症状の経過などを細かく思い出す必要があって、私の場合は当時の日記が手元にあったり、趣味の四コマ漫画に描いたりしていたのでそれらを参照すれば良いものの、そうした記録がなかったら難しい作業だと思った。

 先々月に亡くなった遠方の祖母から生前もらっていたひまわりの種が、ついに花を咲かせた。茶色い花が咲くひまわりだと聞いていたけど、咲いたのは鮮やかな黄色い花びらのミニひまわりだった。どちらにせよ、花が終わったら種を採って来年も育てたい。祖母の家にはほぼ毎年夏休みに家族で遊びに行っていて、広い敷地を歩き回って手当たり次第に植物の写真を撮るのが楽しかった。畑には、草丈が私の身長より高く顔ほどの大きさの花を咲かせるひまわりが案山子のように突っ立っていた。いつかああいう大輪のひまわりも育ててみたいし、あれだけの大きなひまわりを毎年咲かせられるだけの祖母の栽培技術にも憧れる。祖母は花も野菜も色々な種類を上手に育てていたので、同じ植物を育てる趣味を持つ者として、ひまわりを通して祖母にあやかれたら良いと思う。

 

2023/09/26 Tue.

 通信制大学の学位記が届いた。社会福祉学の学位を取れたことになるらしい。なんとか卒業できて心底ほっとした一方で、勉強する意欲や体力をすっかりなくしてしまって学ぶべき内容がまったく頭に入っていないので、こんなはずじゃなかったのになあという気持ちも大きい。

 

2023/09/27 Wed.

 運転免許の更新手続きのために警察署へ行った。ほぼ野ざらしのような状態で軒下に放置している自転車を乗れる状態にするのが面倒で、自宅から徒歩で向かった。片道30分程度で着くだろうとたかをくくっていたら、実際に歩いてみると片道50分もかかってしまった。へとへとに疲れた。整備されていない歩道は落ち葉で滑るし、両脇に生い茂った草や木の枝は伸び放題、周りには毛虫やクモの巣がうじゃうじゃしていてとても歩きにくかった。こんなに遠いなら自転車で行けば良かった、でも自転車を手入れするような元気はなかったし、自転車は自転車で落ち葉の上を走るのは怖いし顔の高さのクモの巣は避けられないし、でもやっぱり歩くのはきついなあ…と頭の中でぐるぐる考えながらひたすら歩いた。でも、橋の上から見下ろす川面は水がきらきらしていて良い景色だったし、途中の公園には芝生の上にオオシロカラカサタケらしき立派なきのこがたくさん生えていて、なかなか楽しい散歩でもあった。久し振りにたくさん歩いて、一日の終わりにiPhoneのヘルスケアアプリが計測した歩数を見たら、約13,000歩という数字になっていた。日頃の運動不足を解消できたようで、達成感がある。

 

2023/09/28 Thu.

 いよいよ今日から家の工事が始まった。雨漏りの原因になっている天窓をふさぎ、ソーラーパネルが傷んできているらしい屋根の修理と、家全体の外壁の塗装をしてもらうことになる。全ての工事が完了するまで、天気次第でもあるけど予定では1ヶ月ほどかかるらしい。今日は以前組んであった足場の追加分を組む作業で、午前中いっぱいで終わった。庭や窓の外に常に人がいて、金属の部品が触れ合う音や知らない人の話し声が聞こえる状況は、想像以上に地味な負荷がかかって参った。家の修理をしてもらえるのは本当にありがたくて頭が上がらないんだけど、それはそれとしてこれが1ヶ月続くのかと思うと途方に暮れてしまう。ネコ達も怯えて家のどこかに隠れて出てこなくなるので、それをなだめるためにもネコ達と一緒に家にいたほうがいいだろう。そもそも出かけた所で、自分は家の外でくつろぐことが基本的にできないので、引きこもるしかないのだけども。カーテンやブラインドがある場所は閉めるけど、家自体が窓の多い開放的な造りだし、廊下や吹き抜けの窓にはカーテンがないので困る。窓のない部屋といえば玄関と浴室くらいだ。音楽室と呼んでいるピアノを置く部屋が比較的身を隠せる気がしてそこにいたけど、カーテンの隙間やブラインドの角度が気になって、人影や物音にずっとそわそわする羽目になった。無職で毎日ずっと家にいる後ろめたさはあれど、別に何か悪いことをしている訳でもないので、隠れる必要がないことは分かっている。業者の人達だって仕事をしているんだから、家の中にいる住人の姿が目に入った所で別にどうということもないだろう。ただ私が人から見られることに対して強い不安感を持ってしまうというだけ。治療のおかげでこうした不安はかなりましになったと思っていたけど、窓の外から見られるかもしれない状況が怖くて昼間もカーテンを開けられずに、暗くて狭い物置部屋にこもって座り込んでいた数年前の時期とよく似ている。幼稚園児の頃に住んでいた家では、隣の家の男の子がよく我が家の庭に入って室内を覗きに来ていたらしい。その時の記憶を覚えてはいないけど、私はそれを嫌がって泣いていたと以前母から聞いた。私自身もやって良いことと悪いことの区別がつくようになるまで随分かかったので、別にその子を責める気持ちはないけど、三つ子の魂百までと思うとちょっと嫌にはなる。

 結局、この日の午後はぐったりして、リビングの床に伸びて起き上がれずにいた。何もしていないのに疲弊しきっている自分にげんなりする。

 

2023/09/29 Fri.

 今日も朝から工事。屋根や外壁を洗うそうで、水害で家が泥水に浸かった時にもお世話になった高圧洗浄機の音がしていた。天井や壁から大きな音が聞こえてくるのは、何の音だか分かっている自分でも落ち着かないくらいなので、ネコ達はすっかり怯えきってどこかに隠れてしまい、工事が終わってもしばらく姿を見せなかった。ネコ達の名前を呼びながらそれとなく探し回ってはみたけど、小さな生き物のかくれんぼスキルには到底太刀打ちできなかった。

 今日は午後まで作業があったので、音楽室にこもってひたすらスマホの画面を眺めて過ごしていた。ただでさえ集中欲や気力が底をついているのに、人の気配と物音が気になるので読書や勉強もできそうにない。それも怠けたいだけの言い訳かもしれないと自分を責めるまでが、すっかりお決まりの流れになっている。夜になってから母と一緒に近所を散歩して、いつもの「今日も何もできなかった一日」から「散歩ができた日」になって少し喜んだ。ところがそれでエネルギーを使い果たしたのか、帰ってきてネコの隣に寝転ぶともう起き上がれなくなってしまって、頑張ってはみたもののお風呂も洗顔も着替えも諦めてそのまま一晩床で寝た。

 Pixivで、「売れっ子漫画家×うつ病漫画家」の漫画を始めから最新話まで読んだ。以前途中までは読んでいて、すごい漫画だとその時も思ったけど、改めて読み直すと本当にすごかった。矢晴の苦しみに感情移入したり、純のような存在が自分にもいてくれたらと羨んだり、この表現力や言語能力、圧倒的な絵の上手さをもっておもしろい作品を生み出す作者の方に感嘆したり。読んでいて楽しいばかりの漫画ではないけど、読んで良かった、この作品と出会えて良かったと毎話読むごとに感じられる。

 

2023/09/30 Sat.

 今日も工事。2階の天窓が雨漏りの原因になっていて、今回直してもまた年数が経てば雨漏りする可能性があるので、なくても良いんじゃないかということでふさいでしまうことになった。

 昨夜リビングの床で寝たせいか、肩凝りがひどい。肩を回したり、温めたりはしてみたけど、ちょっとやそっとじゃほぐれそうにない感じ。

 庭で育てているグァバの実が赤くなったので、収穫してみた。いつどこで買ったのかも覚えていなかったけど、記録を漁ってみると、4年前に購入したレッドストロベリーグァバだということが分かった。見た目は小さなざくろの実に似ていて、皮は薄く、指で押すと簡単に潰れるほど柔らかい。半分に切ってみると、白っぽい色の果肉にきゅうりの種のような小さい種が入っていて、りんごのような甘い香りがする。初めて収穫できたし、食べようと思って簡単に手に入れられるものでもないし、何より初めて実物を目にする果物なのだから、植物好きを自負する人間としては食べない理由はない。でも、未知の果物の味に対する不安と、「トロピカルフルーツはあんまり得意じゃないんだよなあ」という食わず嫌いのぼやきとが阻んでいる。パイナップルは好きだけど、バナナ、マンゴー、パッションフルーツ、ライチ、やはり食わず嫌いのフェイジョアやポポーなど、あの系統の果物はどうも苦手だ。それに通じる、南国の果物らしい甘酸っぱく華やかな芳香と、ぐじゅっとした柔らかい食感とを併せ持つグァバに対して、どうしても食指が動かない。どんな味なのか知りたいという植物への知的好奇心よりも、食べ物に向ける好き嫌いの感情が上回ってしまうのが本当に情けない。子どもの頃なら、たとえ毒があっても「初めて実物を目にする、馴染みのない植物だから」という理由だけでためらいなくその味を確かめていたはずだった。つまらない大人にはなりたくないと思っていても、なってしまうものらしい。悔しい。初めて目にする植物の実を収穫できて、香りや手触りを知ることができたというだけでも良しとしたい。

 

2023/10/01 Sun.

 今日は工事が休み。

 地元名産の栗を使ったお菓子やパンを、地域の色々なお店が作って売り出すイベント期間が始まったので、そのうちの2店舗に行った。ごろっとした栗の渋皮煮とコーヒー味のホイップクリームを挟んだ分厚いフルーツサンドと、モンブランやマロンパイを買ってきた。同じ栗を使ったものでもそれぞれ違ったおいしさで、栗が好きで良かったなあとしみじみ思えた。まだまだ日中は暑いけど、芋栗かぼちゃがおいしい季節になってきて嬉しい。

 観葉植物として育てているコーヒーノキの実が真っ赤に色づいたので、4粒収穫してみた。枝から簡単にぽろっと摘み取れて、さくらんぼによく似ているけど、さくらんぼよりほんの少し果肉が固いような気がする。香りは特にない。本やネットでしか見たことのないコーヒーチェリーの実物を手にすることができて、しかもそれは自分で育てて収穫したものなので、とてもわくわくしている。この小さな赤い実でもって一杯の自家製コーヒーを淹れる夢まで、なんとしても漕ぎつけたい。

 夜、久し振りに湯船にお湯を張ってゆっくりお風呂に入った。レモングラスの香りの入浴剤を入れると、レモングラスのハーブティーに浸かっているような錯覚を覚えておもしろい。ぬるめのお湯ではあったけど、身体に蓄積した凝りや疲れ、緊張、冷えなどがじわじわほぐれて、とてもさっぱりした。お湯に浸かるのは面倒だし億劫だけど、それを上回る効用は確実にあるので、なるほど面倒くさいだけのことはある。